相対座する前敵の抜打ちに斬りかかろうとして右手と刀の柄にかけた間一髪、
機先を制して鞘のまま、まずその柄に掛けた前腕を打ち、つづいて抜刀しながら立ち上がりざまその胸を突き刺し、更に、追い込んでその頭を斬る。
刀を帯には挿さず左手に持ちて正座している。対座する前敵が俄かに抜刀せんと刀の柄に右手をかけると同時に、左足を蹴り出しつつ左手の掴み逆のまま、その出鼻を挫いて右手を柄かけるのと一体の動作（連動して）で、前敵の柄にかけた前腕を上から強く打って抜打ちの動作を完全に封じなければならない。
つづいて、右手を鍔元までずらして持ち替え、立ち上がりつつ刀身を引き抜き（鞘はそのままそこに置き残す）、右足を一歩踏み出してその胸部を刺突き、左足を一歩進めつつ直に引き抜き、更に右体側で刀を一転して上段に振りかぶり、右足を一歩踏み出し追い込みつつ両手にて頭を斬る。
次に、右足を一歩退がって両腕は交叉、刀身は水平（刃は外、峰は手前）に保持して残心。左足、右足、左足と三歩退き、四歩目の右足を左足に引き付けて立ち、両膝を床に着き左手にて鞘を拾い、直角に移動させて腰に帯びた格好に手にて保持し、刀身のはばきの付近を左手３本の指にて挟み、右手を下から持ち替えてのち、静かに血を拭うが如くずらしながら納刀する。
この間、眼は死骸に注ぐ。
納刀が終わったら右手は右膝の上に伏せておき、左膝を軸にして一挙に
９０°左転して右膝を床に着き正面向きになり、立てている踵を両方とも下ろして静かに初めの姿（正座）に戻る。
小手落（ＭＰ４形式の動画です。